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- レセプトオンライン義務化の問題点
■Check!1
レセプトのオンライン請求が義務化されます
Q1 レセプトって何ですか?- A1 医療費の請求書・明細書です。
「レセプト」とは患者さんが保険証を使って医療機関(病院・診療所)で診療を受けた場合に、医療機関が審査支払期間を経由して保険者)に医療費を請求するための明細書のことです。
レセプトには、患者さんの名前や生年月日のほか、ケガや病気の名前、治療を開始した日、投薬、処置、手術、検査などの詳しい内容とその点数(診療報酬))が書かれています。
医療費は、審査を受けた後、各医療機関に支払われます。
- Q2 オンライン請求の義務化って何ですか?
- A2 レセプトをインターネット回線を用いて請求する方法に限定することです。
レセプトの提出方法は、(1)手書きで紙レセプトを提出、(2)コンピュータで紙レセプトを作成・提出、(3)コンピュータでデータを作成してCD‐Rやフロッピーディスクなどの記録メディアで提出のーの3通りがあります。
これに加え2007年4月から、(4)医療機関からISDN回線やインターネット回線を用いて、オンラインで電子的に請求する方法が加わりました。
これら4つある方法を、2008年4月以降は、原則的に④の方法に限定する、というのが「オンライン請求の義務化」です。
以後、段階的に実施され、2011年4月以降はほとんどの医療機関に義務づけられます。
■Check!2
レセプトのオンライン請求には問題がいっぱい
- Q3 どんな問題があるのですか?
- A3 4つの大きな問題があります。
レセプトオンライン請求の問題点
- Point1 患者さんが保険で受けられる医療が制限されてしまう?
- Point2 患者さんの診療情報が漏れてしまう?
- Point3 患者さんの情報が診療以外のことで使われる?
- Point4 近くのお医者さんが辞めてしまう?
- Q4 診療情報が漏れた場合、どんな問題が生じますか?
- A4 患者さんの生活に悪い影響を及ぼすかもしれません。
レセプトには、患者さんが医療機関で診断されたケガや病気の名前、受けた診療の内容などの診療情報が書かれています。オンライン請求の場合、医療機関から審査支払期間に送られたレセプトのデータは、審査の後、保険者にデータ送信されます。同時に、その中身は匿名化され、政府に情報提供される予定となっています。
この流れのどこかで、診療情報が漏れる危険があるのではないか、非常に心配です。
患者さんの診療情報が外に漏れてしまえば、どうなるでしょうか。
情報を入手した人の考え方や使い方によっては、その患者さんの生活に悪い影響を及ぼす可能性もあります。特に精神科や産科・婦人科の受信歴や、病名、診療内容が悪用されれば、恐喝、ゆすり、ストーカー行為、サギ、誹謗など、さまざまな犯罪に利用されるかもしれません。
悪用されるまでに至らなくても、のぞき見されることも考えられます。それは、決して愉快なことではありません。
■Check!3
大量の診療情報が漏れていく危険性!?
Q5 情報漏れの問題は、紙の場合でも同じではないですか?- A5 電子情報は紙と異なり、パソコンを使って大量に集められ、大量に保管することができます。
統計を取ったり、クレジットなどのカード情報など日常生活に関わる他の情報と関連させることで、個人を特定することも、パソコンで簡単にできてしまいます。
さらに、繰り返し使うことも可能です。
この扱いの簡単さは紙情報を扱う場合と大きく異なり、仮に情報が漏れた場合の影響は計りしれません。
- Q6 情報漏れの危険性は本当にあるのでしょうか?
- A6 住基ネット情報など漏洩事件が続発しています。
厚生労働省が示しているガイドラインにのっとりデータ送信する限りは、情報漏れの危険性は少ないかもしれません。
しかし、同じ電子情報として、氏名、住所、生年月日、性別の4情報が登録されている住基ネットでは、インターネット上への流出など、情報漏洩事件が続発しています。
オンライン化の先には、社会保障カード((仮称))の導入や健康情報の一括管理が検討されています。これらの情報が漏れた場合は、住基ネットとは比較にならないほど計りしれない被害となります。この危険性を残したまま急いで進めることは問題です。
■Check!4
国は医療費の給付減らしに診療情報を利用!?
保険診療が制限され患者さんの負担が増える!?
- Q7 レセプト情報が医療費の請求以外のことで使われるってどういうことですか?
- A7 国はレセプトの診療情報を使って、医療費の給付を減らそうとしています。
オンライン請求で集められた患者さんの診療情報は、2011年度までに厚生労働省が全国規模で収集し、分析します。
一方、2008年4月から実施されている保険者による健診(特定健診))の情報も、国が全国的に収集するようです。そして、レセプトの診療情報と健診情報を連携させて活用するとしています。
この活用の国の第一の目的は、国や保険者が負担する医療費の給付を減らすことです。
オンライン請求“先進国”の韓国では、医療機関の90%以上がオンライン請求を導入しています。レセプトデータから、診療科目別、ケガ・病気別の平均報酬を割り出します。医療機関から請求があると、最初にコンピュータで自動審査し、請求額が平均報酬より高いと、今度は審査員が詳しく審査して、厳しく減額します。
そのため、韓国の医療機関は、平均報酬より高くならないように、治療内容を制限しながら保険診療しています。そして、韓国では、審査で認められない医療は、全額患者さんの自己負担にすることが認められています。そういう制度が日本にも導入される危険性があります。
- Q8 オンライン請求の義務化、本当の狙いは?
- A8 医療の標準的な範囲を定め、はみ出た部分は患者さんの自己負担にすることです。
政府が経済界・大企業の人たちを集めて開催している規制改革会議)は、国が集めた診療情報を元に、ケガや病気ごとに、健康保険が受けられる範囲を「標準的医療」として狭くし、その範囲から外れる医療は患者さんの全額自己負担にする方向も示しています。同時に、その上で混合診療注)を全面的に解禁せよと要求しています。
つまり、健康保険による診療を制限して、患者さんの負担をどんどん増やすことを考えています。あわせて、民間保険会社の市場をより拡大しようとする意図も見えます。
そうなると、日本の「健康保険で良い医療」が受けられるという制度が改悪されて、国民にとって、健康保険で十分な医療を受けることができなくなります。
■Check!5
民間企業による診療情報・健診情報の活用も大問題!!
- Q9 レセプトの診療情報は国以外にも使われるのですか?
- A9 経済界・大企業は民間でも使えるよう働きかけています。
規制改革会議は診療情報の民間活用を求めています。いま国では、民間による診療情報・健診情報の活用の方法を検討しています。
しかし、診療情報・健診情報は極めてデリケートな情報です。
民間の企業が、医療費の請求という本来の目的を外れ、しかも、患者さんの同意取得なしに個人情報を利用することは、認めるべきではありません。
また、「あなたにピッタリの薬」「あなたのためのフィットネス」なんていうダイレクトメールが来るかもしれません。
マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」でも、保険会社が支払いを決定する際に、過去の病気を調べ上げ、まったく異なる疾病なのに、「告知義務違反だ!!」と言って支払わない、いわゆる不払い問題が描かれています。そういう状況が日本でも起こりえます。
その他、企業への就職、リストラなど、個人に不利益をもたらす可能性が危惧されます。私たちは、診療情報・健診情報の民間利用、とりわけ民間企業の営利目的の利用には絶対反対です。
Q10 オンライン請求の義務化は誰にメリットがあるのですか?- A10 国・保険者・企業の他、IT業界にも市場が広がります。
- レセプトのオンライン請求の義務化で、国や保険者は負担する医療費の給付を減らすことができる。
- 標準的医療と保険外負担による混合診療の導入により、民間保険の市場が広がる。
- 通信回線・機器が必要になるため、NTTなどのIT業界にも大きな市場。
など、国・保険者・関連企業、IT業界にはメリットがあります。
では、患者さん、医療機関にはメリットはあるでしょうか。
診療情報・健診情報が民間企業での営利目的に使われる危険、国が給付する医療費が減って患者さんの自己負担が増える危険。さらに深刻なことには、医療機関が存続できなくなることで、身近で必要な医療が受けられなくなる危険性があるなど、デメリットが多いのです。
■Check!6
近のお医者さんが辞めてしまうかもしれません
- Q11 お医者さんは、このオンライン請求の義務化にどう対応するのですか?
- A11 あなたのまちのお医者さんの中にも「辞めるしかない・・・」と言っている先生がいます。
これまで触れてきたことに加え、オンライン請求の義務化は、レセプトを手書きしている医療機関に対して大きな負担を強要します。現在でも医科で2割、歯科で3割の医療機関が手書きでレセプトを作成しており、機械化してオンライン請求に対応するためには、専用コンピュータの購入費用、オンライン接続のための費用、入力のための事務員の雇用や業者への委託などのほか、その後も保守・運用のため、相当な費用がかかります。この準備を2011年4月までに行わなければなりません。
京都府保険医協会が京都府内の60歳以上の開業医にアンケートした結果、3割を超える医師が「辞めて引退する」と答えています。また、全年齢を対象に日本医師会が調査した結果でも、8.6%の医師が「廃院を考えている」と答えています。
医師不足が叫ばれ、社会的に大きな問題となる中、ベテラン医師の引退に拍車をかける、オンライン請求の義務化は問題があります。
- Q12 オンライン請求して欲しくない場合はどうすればよいのですか?
- A12 いまのままでは医療機関はどうしようもありません。この法令を変える運動が必要です。
患者さん(あなた)が「オンライン請求は嫌だ!!」と窓口で言っても、医療機関は医療費を請求できなければ困ってしまいます。
さらに重要なことは、「自分の診療情報は国に渡したくない。利用されたくない」という患者さん自身の権利の保障です。オンライン請求の義務化には、いまこの権利は保障されていません。加えて、2011年4月までにオンライン請求へ移行させることのみに重点が置かれ、十分な情報保護対策は考えられていません。
このように問題の多いレセプトのオンライン請求の義務化と情報利用を定めた法令は、国に撤回させることが必要です。私たちが取り組む運動にぜひご協力下さい。

